TPAフィルターとは?
仕組みや性能、HEPAフィルターとの違いについて

TPAフィルターとは

「TPAフィルター(ティーピーエー)」とはTwin Pole Activeの略で、高性能な空気清浄機やビルドイン型の業務用空気清浄機などに搭載されている、これまでにはなかった革新的な空気清浄フィルターです。
プラスとマイナスの2極が引き合う電気の力を利用して、粉じんを引き寄せて、吸着させることができる電気集じん方式で、粒子の大きさに関わらず、ウイルスよりも微細な0.0146μmの超微細粒子まで除去する性能を有しています。
さらに、目詰まりによる性能劣化がほぼなく、汚れた集じんフィルターは水洗いをする事により新品時同等の性能に回復する事が確認されています。

TPAの仕組み

電気集じん方式の一種である「TPAフィルター」はこのようなステップで粉じんを吸着させます。

  1. 帯電ユニットにおいて、フィルター内を通過する空気中にある粒子を(+)帯電させる。
  2. (+)帯電された粒子は(-)集じんユニットに引き寄せられ、吸着される。
  3. 粉じんや汚染粒子が除去された空気が空間に供給される。
TPAフィルターの集じんの仕組みを詳しく解説

「TPAフィルター」は編み目状フィルターで濾し取るというろ過集じん式に比べて、フィルターに空間があることから空気の流れを邪魔せず、風量が維持できることが特徴です。

従来の電気集じん式は、帯電ユニットと集じんユニットが近く帯電ユニットでかけられる電圧に限りがあるため、十分な吸着力が得られませんでした。
しかし、「TPAフィルター」は電極を2つのユニットに分け電極間にスペースを設けることで、帯電ユニットに高電圧をかけ、二つの電極間で強力な電磁場を形成することに成功しました。
その結果として、プラスとマイナスが引き合う力がより強くなり、ウイルス、細菌や粉じんなどの粒子状物質を十分に吸着することができるようになりました。
「TPAフィルター」は次世代の電気集じんフィルターと言えます。

TPAフィルターの性能

「TPAフィルター」は、PM2.5・花粉・アレルギー物質・菌類・ウイルスから0.0146μmの超微細粒子までさまざまな粒子状の有害物質を除去します。
インフルエンザウイルス、肺炎の原因となる細菌といったエアロゾルをも捕集します。

インフルエンザウイルス

TPAフィルター吸気式試験機を用いたインフルエンザウイルスH1N1の除去試験結果へ

TPAフィルター吸気式試験機を用いたインフルエンザウイルスH1N1の除去試験において、99.9%の除去率を誇ることが確認されています。

コロナウイルス

TPAフィルター吸気式試験機を用いたコロナウイルスの除去試験結果へ

海外の試験機関で実施した試験で、TPAフィルター吸気式試験機を用いたコロナウイルスの除去試験において、99.9%の除去率を誇ることが確認されています。

通年性アレルギー・ダニ

TPAフィルター吸気式試験機を用いた浮遊ダニ、ペットアレルゲンの除去試験結果へ

TPAフィルター吸気式試験機を用いた浮遊ダニアレルゲンの除去試験において、99.9%の除去率を誇ることが確認されています。

花粉アレルギー物質

TPAフィルター吸気式試験機を用いた浮遊花粉アレルゲンの除去試験結果へ

TPAフィルター吸気式試験機を用いた浮遊花粉アレルゲンの除去試験において、99.6%の除去率を誇ることが確認されています。

HEPAフィルターとの違い

TPAフィルター方式とHEPAフィルター方式では、それぞれの構造が異なります。
集じんを行うフィルターに違いがあり、HEPAフィルター方式は、ろ過による粉じんの除去を行うのに対して、TPAフィルター方式は、帯電させ、電気の力で粉じんの除去を行います。TPAフィルター方式とHEPAフィルター方式との違いについて紹介します。

TPAフィルター方式(電気集じん方式)の粉じん捕集の仕組み
HEPAフィルター方式(ろ過じん方式)の粉じん捕集の仕組み

集じん性能が持続

TPAフィルターは空気の流れを遮らず、目詰まりを起こさない構造で、集じん力が長期間維持されることが特徴です。
TPAフィルターを搭載した空気清浄機で粉じんを捕集させ、集じん性能の比較試験を行ったところ、TPAフィルター搭載のものは、性能の低下はほとんどなく、性能が維持されました。
一方、HEPAフィルター搭載の空気清浄機では、粉じんを捕集するにつれて集じん性能の低下が認められました。
HEPAフィルターは目の細かいフィルターの繊維で、使用初期は微粒子を非常に高い効率で捕集できます。
しかし、汚れが蓄積するにつれて目詰まりを起こし、集じん性能・風量が低下します。その為、性能を持続させるためには定期的なフィルター交換が必須です。

HEPAフィルターは約15gの粉じんを捕集すると性能が50%劣化するが、TPAフィルターは性能劣化がほとんど無かった

フィルター交換が不要

TPAフィルターの集じんユニットは、アルミ合金と樹脂で構成されています。
汚れたフィルターは水洗いできるため、フィルターを交換せずに清潔な状態を保つことができます。
さらに、繰り返し使用しても性能低下はありません。
一方、HEPAフィルターは、細かな編み目状のろ材でできています。
使用するにつれフィルターの汚れは蓄積し、性能が低下するだけでなく、フィルターに付着した汚染物質は取り除くことはできません。したがって、新た強いフィルターに交換することが必要になります。

TPAフィルターの集じんユニットを水とブラシで掃除している作業風景

TPAフィルターのデメリット

「TPAフィルター」のデメリットは、フィルターの清掃中にフィルターが使用できないことです。
洗浄したTPAフィルターを自然乾燥させるためには半日〜1日程度かかり、その間フィルターの使用はできません。
浴室乾燥などを活用し、乾燥時間を短縮することや洗い替え用のフィルターを準備することで使用できない期間を短縮していただくことができます。

TPAフィルターのその他の特徴

「TPAフィルター」のその他の特徴はオゾンが発生することです。
放電により微量のオゾンが発生し、オゾン特有のニオイを感じることがあります。
「TPAフィルター」では発生するオゾンに対して、オゾンを除去するフィルターで対策を行っています。
オゾンを除去するフィルターで発生するオゾンを分解し、国際安全基準(0.05ppm/日)の1/5以下となる0.01ppm未満に抑えられており、人体に対する影響はありません。また、微量のオゾンは、消臭効果も期待できます。

TPAフィルターのメンテナンス方法・ランニングコスト

TPAフィルターにおいて主にメンテナンスが必要なものは、集じんユニット・放電ユニットの2つです。
適切にメンテナンスすることで、新品フィルターと同等の性能に回復します。
フィルターは繰り返し使用することができるので、経済面・環境面ともにエコなフィルターです。

TPAフィルターは水洗い可能

空気清浄機のフィルターは空気中の汚れを強力に捕集することから、フィルターにはカビやアレルギー物質などさまざまな物質が付着しています。
汚れたまま使っていると本来の性能が維持できないだけでなく、汚染された空気が出てくるという可能性も否定できません。
TPAフィルターは、ご自身でメンテナンス可能なので、お好きなタイミングで洗浄することができます。
集じんユニットは水洗いまで可能なので、衛生的です。

フィルター交換不要なのでランニングコストが低い

TPAフィルターでは、HEPAフィルターのように定期的に購入し交換する費用が不要です。
さらに、TPAフィルターの寿命は10年※以上であることからコストパフォーマンスともに優れたフィルターと言えます。
※使用環境、メンテナンスの頻度によります。

TPAフィルターを定期的に掃除することにより、新品へ交換せずに性能劣化が回復する事を示したグラフ

開発元・特許取得情報

TPAフィルターはSilicon Valley Air Expert社が開発し、米国内で特許を取得している技術です。
米国特許 (US9868123B2/US9735568B

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